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なぜ“さわやか”は6時間待ちでも人が集まるのか? ─行列ができるブランドの“仕組み”を解剖する

なぜ“さわやか”は6時間待ちでも人が集まるのか? ─行列ができるブランドの“仕組み”を解剖する

先日、御殿場にある
「炭焼きレストランさわやか」に行ってきました。

到着したのは午前10時半。
早めの時間に着いたはずなのに、
画面に表示されたのは「待ち時間360分」。
つまり──6時間待ち。

思わず笑いました。
でも、
その場にいた人たちは、
誰ひとりとして不機嫌ではなかった。
むしろ、楽しそうに笑っていたのです。

「6時間待ってでも食べたい」
そんなお店、なかなかありませんよね。

マーケティングの視点で見ても、
これは非常に興味深い現象です。


なぜ人は、
ここまでして“さわやか”に行きたがるのか。


その秘密を、
今回はビジネスの観点から読み解いてみます。


1. あえて「広げない」という勇気がブランドを強くする

多くの飲食チェーンは、
売上を伸ばすために全国展開を目指します。


しかし“さわやか”は、
静岡県内にしか店舗を構えません。

実は、ここが最大のポイント。
この「地域限定戦略」こそが、
ブランドを唯一無二の存在にしているのです。

彼らのこだわりは、
「その日のうちに製造・配送・提供」を徹底すること。

ハンバーグは静岡の自社工場で製造され、
各店舗に毎朝届けられます。

だからこそ「冷凍しない」「鮮度を落とさない」。

全国に広げてしまえば、
この品質管理は不可能になる。
だから広げない。

この“広げない勇気”が、
逆に「ここでしか食べられない価値」を生み出しています。


▫️ 限定は「不便」ではなく「魅力」

マーケティングでよく言われるのは、
「限定はブランドの武器になる」ということ。

静岡に行かなければ食べられない。
それが逆に、
「旅の目的」にすらなっているんです。

「静岡に行ったら、さわやかに寄ろう」
──これが、もう観光動線に組み込まれている。

ビジネスにおいて“どこでも買える”は便利ですが、
“どこでもある”は差別化を消します。

さわやかは、
あえて「不便なブランド」であることを選び、
その不便さを“価値”に変えたのです。


2. 味だけじゃない、“体験を売っている”ブランド設計

さわやかに行ったことがある人なら、
あのシーンを覚えていると思います。

目の前に置かれたハンバーグを、
店員さんが半分にカットして、
「ジュワ〜ッ!」と鉄板に押し付ける。

その瞬間、肉汁が弾けて湯気が立ち上がる。
香りが広がり、
周りのお客さんが一斉に「おぉ〜!」と声を上げる。

これこそが、“体験のデザイン”です。

味覚だけでなく、
視覚、聴覚、嗅覚──五感すべてを刺激する演出。

この“ライブ感”こそが、SNSでの拡散を生み、
「また行きたい」「誰かを連れていきたい」
という感情を引き出しています。


▫️ 人は「体験」を語りたくなる

人が他人に話したくなるのは、
「モノ」よりも「体験」なんです。

「すごく美味しかった」よりも、
「目の前でジュワ〜ッて焼いてくれるんだよ!」の方が、
感情を動かすし、共有したくなる。

つまり、
味だけでは拡散しない。体験が拡散を生む。

そしてそれを無意識に理解しているのが、
さわやかの強さなんです。


3. 一点集中の「コア戦略」で勝つ

さわやかのメニュー構成を見てみると、
実にシンプル。

主役は
「げんこつハンバーグ」ただ一つ。

いろんな味、トッピング、期間限定メニュー──
そうした“幅”を求めず、
「深さ」で勝負しているのです。

この一点集中が、ブランドをブレさせない。

・仕入れの効率化
・品質の安定化
・スタッフの熟練度向上
・調理スピードの最適化

全てが好循環を生みます。

「げんこつハンバーグ専門店」としての明確な立ち位置。
だからこそ、人は「何を食べに行くか」迷わないんです。


▫️ あなたのビジネスの“げんこつハンバーグ”は何か?

商品が多すぎると、
お客様の記憶に残りません。

“さわやか”のように、

「これを食べに行く」
と言わせる看板商品を持っていますか?

あなたのビジネスにも、
「これだけは絶対にここ」と言われるコアが必要です。


4. 口コミで育つ“参加型ブランド”

もう一つ注目すべきは、
広告に頼らず、口コミだけで広がっているという点です。

SNSでは「#さわやか」で検索すると、
数十万件の投稿が並びます。
まるでファンコミュニティのように。

そしてその投稿のほとんどが
「静岡=さわやか」という文脈。
観光と食体験がセットになっているのです。

「味わう」だけでなく、
「体験をシェアする」ことが価値になっている。

これが、
まさにUGC(ユーザー生成コンテンツ)マーケティング
の理想形です。


▫️ お客様が“広報担当”になる仕組みをつくる

現代のマーケティングでは、企業が語るよりも、
お客様が語る方が信頼されます。

だから、
「発信したくなる仕掛け」を組み込むことが重要です。

お客様が喜びを感じる瞬間、感動する演出、
写真を撮りたくなる場面──

こうした“小さな工夫”が、
結果として大きな拡散を生み出します。


5. “待たせても満足”を生む心理設計

通常なら、待ち時間が長ければクレームになります。
でも、さわやかでは6時間待ちでも笑顔。

この心理を生み出しているのは、
「待つことに価値を感じさせる体験」です。

「今、自分は特別な体験を待っている」
「この行列の先にしか得られない味がある」

人は、“希少体験”を待つ時間を楽しめるんです。


▫️ 行列は、信頼の可視化

行列があるお店を見ると、人はこう思います。
「これだけ並んでるなら、きっと美味しいんだろう」と。

行列そのものが、
信頼の社会的証明(ソーシャルプルーフ)
になっている。

つまり、
行列は「人気の結果」ではなく「価値の演出」でもある。

この構造を意識して設計しているからこそ、
さわやかは“行列がブランド”になっているのです。


6. まとめ:「待つ価値」をデザインできるか?

“さわやか”の人気は、偶然ではありません。

・品質へのこだわり
・あえて広げない地域限定戦略
・体験を売るライブ演出
・一点集中の商品戦略
・口コミが広がる構造設計
・待つ価値を感じさせる心理設計

これらが一つのストーリーとして機能している。
それが「6時間待っても食べたいブランド」
をつくり上げているのです。


▫️ ビジネスの学びとして

行列は「人気の証」ではなく、「信頼の証」。

売れるブランドは、
偶然ではなく、設計されている。

そして本当のブランドとは、
“広げる勇気”よりも、“守る覚悟”を持ったもの。


僕自身、
6時間待ちながら思いました。

「自分のビジネスは、お客様に
“待ってでも手に入れたい”と思ってもらえているだろうか?」

便利さやスピードを追う時代だからこそ、
「手間をかける価値」「待つ時間の意味」を再定義したい。

そう感じた一日でした。


🪄今日の問い

あなたのビジネスに、
“行列ができる理由”はありますか?
それは「味」だけでなく、
「体験」「感動」「信頼」──
どこに宿っていますか?